虹1ポンドの物語 

ちょっと笑って、考えさせられて、楽しくなるような物語書いてます。世界観を大事にしてます。

【第11話】金の斧、銀の斧


※小さなお子さんと一緒にご覧下さい。

 

 

 

 

 

 

とある村に1人の男がいました。
彼はどこにでもいる普通の男で、1人で森の中に住んでいました。

 

彼は言います。

 

 

「隠居生活も悪くはないな」

 

 

そう言って独り身でずーっと独身貴族を貫いていました。


彼はいつものように、軽い朝食を済ませたあと斧を手に持ち薪をとりにいきます。

 

 

森には他に誰もいません。

 


森にいるのは可愛いリスや、鹿などの動物ばかりです。


長い時間ここにいるので、雄か雌かは見るだけで判断できるようになりました。

 

 

 

「やぁ、ジャック&ベティ!あれ、今日はルーシーは一緒じゃないんだね!」

 

 

 

彼ら愉快な口調で動物達に語りかけます。
動物たちも不思議に楽しそうです。

 

 

 

彼は湖の近くに到着すると


「よし、このあたりでいいかな」


と、持っていた斧を振りかざします。

 

すると、

 

 

スポッ!

 

手から斧が抜け落ちて後ろの湖の方に落としてしまいました。

 

「ああ、、なんということだ。」

 

 

彼はとても悲しそうです。

 

 

「あの斧がないと薪が作れなくて隠居生活ができなくなってしまう…」

 

 

 

すると、なんということでしょう。
突如、湖が黄金色に光出して、ぶくぶくと泡が湧き上がってきます。

 

「な、なにごと!」


彼はじっと目を凝らします。

黄金の光の湖から女神様がゆっくりと出てきたのです。

 

「な、なにごと!part2!」(心の声)

 

女神様はとても優しそうで、この世の人とは思えない姿でした。

 

女神様は彼にこう言いました。

 

 

「あなたが落としたのはこの、金の斧ですか?」

 

彼はまだ目の前で何が起こっているのか信じられない様子です。

 

「いいえ、私が落としのは金の斧ではありません」

 

彼は答えます。

 

すると、女神様は、わざとらしく後ろに隠していたもう一方の手を出してこう言いました。

 

「では、あなたが落としのはこの銀の斧ですか?」

 

男は少し考えて女神様にいいました。

 

 

「いいえ、私が落としたの銀の斧でもありません」

 

 

女神は優しい微笑みをしてふたたび彼に問いかけました。

 

 

「正直ものですね。ではあなたが落としたのはこのボロボロの斧ですか?」

 

 

彼は迷わず直ぐにこう言いました。

「いいえ、違います!」

 

 

 

女神様は眉をひそめました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「女神様、私はあなたとの恋に落ちてしまったようです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女神様は予想だにもしない回答だったので不覚にも「えっ」と一言を漏らしてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

続けて男は言いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が欲しいのは女神様、あなたとのかけがえのない時間です。どうか、この湖の中ではなく地上で私と一緒に暮らしていただけないでしょうか?今は隠居暮らしで私も独り身でお金にも余裕があります。ただ、いきなり一緒になりましょうと言われたところで女神様とて混乱するお気持ちも十分お察し致します。ですので、もちろん友達からで全く構いません。私は小さい頃から動物が好きですし、この森にもずっと通っています。それに雨にも負けず風にも負けぬ丈夫な身体を持っています。欲は無く、可愛い動物からも好かれている自信もあります。ちょうど今日もここに来る時にリスのジャックと鹿のベティにも会いました。女神様が私のような人間ごとき有機物を相手にされないのは承知の上です!もし好きなタイプの男性を聞かれた女神様なら「そうねぇ、とりあえず特殊な能力とかは別に気にしていなんだけど、最低限はあのマント?神様といえばローブみたいなのを羽織ってんじゃん?あれは最低限着こなしてて欲しいよね、あとそれに加えて出来ればシワとかも無い状態で」と仰るかと思いますが、こちらも着こなす自信はありますし、ここに来る前にはクリーニング屋さん顔負けの仕立て上げも行っておりましたのでオールクリアです。いずれにしても、こうしてとある森に1人男が住んでいる。そして、とある湖にまごうことなき女神であられる1人の女性が住んでいらっしゃる。その他に誰もいないのです。これはまさに、旧約聖書の創世記第2章よろしく『エデンの園』なのです!そう、まさしく私とあなたは現代版のアダムとイブであり、リンゴではないですが、先ほどのボロボロ斧をもって一生をともにしようではありませんか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男は今までにないほど熱量をもった告白を女神様にしました。

 


すると、女神様はゆっくりと口を開きます。

 

 

 

 

 

 


「………せん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


うまく聞き取れませんでしたが

出来ないなら出来ないとはっきりと聞きたくて彼はは諦めきれず、もう一度聞き直します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「20分3000円」

 

「!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


今度ははっきりと聞こえました。
確かに女神様は「20分3000円」と言いました。

 


男はびっくりしましたが心の中で

 

 

確かに……

女神様はお忙しいから時間を切り売りしているのだろう…

仕方ない…

 

 

と言い聞かせて

 

 

 

「分かりました」と言ようとした時です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「延長オプションアリヨー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急なカタコトでした。
男はスッともとに元にもどり、振り返って吐き捨てるようにボソっと、一言こう言いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「やっぱり中国産の斧はダメだな」

 

 

 

 

 

 

 

 


おしまい。

 

 

【第10話】久しぶりの再会

 

 

 

 

今日は元旦。

久しぶりに実家に帰ってきた。戻ってくるのは何年ぶりだろう。大学の時に家を出てから帰ってないな。もう7年くらい経つのかな。時々お母さんとは電話はしてだけど。長くなるから、途中で面倒くさくなって切るようにしてたんだよなあ。

 


「久しぶりに帰らないとね…」

 


ボソっと口にした独り言は生々しく、直ぐには消えずにねっとりとへばりつく感じがして、少し不愉快だった。

 


そういえば弟のタケシはどうしてるだろう、

私に似て少し頑固なところもあるから、変わってないんだろうけど話すのはそれこそ7年ぶりくらいになるだろうか。私と個性の強い母親の影響を多大にうけて育ってきたから、まぁ、女性関係は問題ないだろう。

 


問題は母親だ。

あれは、もうなんなのだろう。

考えるだけでも億劫になるし、本当に私はこの人から産まれてきたのだろうか、と疑いたくなるほどだ。

私が上京して、取り残された弟はさぞ大変だっただろうと想像しなくても分かる。

 

 

 

そう考えているうちに、実家の最寄り駅についた。

駅からはバスで、15分いったところに家がある。

もう暗いし流石にバスでこっそりと帰ろうと思っていた時に、一台の車が目にとまった。

 


とまったというか、とまざるを得なかった。

 


なぜかは知らないが、フロントライトをこちらに点滅してきている。モール信号で点滅してる。

 

 

 

改札から出てきた乗客は不思議そうに、その車に乗っている人を見るように通り過ぎていく。

 


私も、そうしようとした時に、点滅からハイビームに変えて、明らかにこちらに気付いて欲しいと言わんばかり主張してくる。

 


「分かったよ。」

 


助手席に向かうと、母親がこちらを見てニコッりとしていた。

 


「モース信号で、遅いよって伝えなくて良いから。」

 


「あんた、遅いわよお!お母さんとタケシどれだけ待ったと思ってるのよ!」

 


気づかなかったが、よくみるとタケシが後部座席に座っていた。

 


「ほら、タケシ!お姉ちゃんよ!久しぶりに会うんだからケータイいじらないで話したらどうなのよ!」

 


車は実家へと走らせている。

 


「お母さんねぇ、あんたたちのこと心配で心配で、あれよ?夕ご飯食べる時なんか、あんたたちのことを思って手を合わせて頂きますしてるのよ?さすがに、ウチの家はキリスト教じゃないからアーメンとかはしてないけど、この気持ち伝わって欲しいなっておもってるのよ?そりゃあだって、死ぬ気で産んだ我が子だからそう思うのは当然よねぇ?ねぇ、タケシ聞いてるの?どうせパズドラしてるんでしょ?もしくはポケモンでしょ?それも、ポケモンGOの方でしょ?何がGOなのよ。どこに行こうとしてるのよアナタ。移動したってポケモンなんて出てきやしないんだからやめなさい!ポケモンで思い出したけど、お母さん昔はフシギダネに憧れてた時期があって口癖が「不思議だね」って言ってた時があってね、それで四天王の彼が……」

 


「お姉ちゃん、お帰り、久しぶり。」

タケシの声は母親の話を切り裂くように鋭く私の鼓膜に響いた。

 


「久しぶりだねタケシ。最近なにしてるの?」

 


私は後ろを見ないで弟に聞いた。

 


「最近はタイムカプセルとか掘り起こしてたかな」

 


すると、また母親が割り込んでくる。

 


「あら、タイムカプセル良いわね。お母さんも昔校庭の裏庭にみんなで埋めたからしらね。タケシは何を埋めたの?」

 


タケシは少し時間を置いて考えながら言葉を発した。

 

 

 

「青春の思い出を埋めた。」

 


すると

 


「若いわねぇ」

 


と一言、母親が言った。

 

 

 

沈黙が続いた。この15分がとても長く感じた。

 


「お姉ちゃんはどうだったの?」

タケシはポケモンGOをやりながら私に向けて質問をしてきた。

 


母親が続いて

 


「あんた、もう良い歳なんだから早く孫の顔を見せてちょうだい」

 

 

 

と言ってきた。

 


私はしぶしぶ答える。

 

 

 

「うーん、なんか、恋愛とか私向いてないのかも。理想が高いわけじゃないけど、会社の男性とかもこうなんか、大事な部分が欠けてるっていうか……」

 


そこで、ふと、気になったことがあったので、後ろを気にしている母親に質問してみた。

 


「お母さんさ、お父さんと結婚する時ってどうだったの?やっぱり、素直な気持ちとか大事だよね?」

 

 

 

 

 

 

 


ミラー越しにタケシを見ると、ポケモンGOをやめてこちらを見ていた。やはり気になったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母はしっかりとハンドルを握りしめて、前を向いていた。

 

 

 

 

 

 

 


7秒くらいだろうか。車内に無言の時間が流れた。

その後に、ゆっくりと母は口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「そうねぇ、、決め手はお父さんの「五十嵐」って名字が何となく良かったからかな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


通り過ぎてゆく街頭が、いつも以上に眩しくて鬱陶しくて、

 

 

 

 


でも目をやる場所が無かったので、

 

 

 

 

 

 

いつ置いたのか知らないけど母が車内に置いた腰を振るフラダンス人形をじっと見つめるしか他なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

おしまい。

【第9話】早朝の出来事

今朝、満員電車を出てからエスカレーターを上がったときの出来事だった。

 

直ぐ隣で60代の男性が30代くらいの男性と接触しバランスを崩していた。

 

普通ならお互いに会釈してそのまま歩くのだろうがそうはならなかった。

 

30代の男の方も無表情で彼を見返して何も無かったように振る舞ったのだ。

 

すると、見返された60代くらいの男の方は彼に向かって手を出したのだ。

 

 

それもなかなかの力の強さで。

少し口論にもなっていたか。


恐らく、60代男性は満員電車でイライラしていたのだろう。

その矢先の出来事だったために朝から怒るはめに。

 

それでも、もしそれが自分だったと考えると、なかなか恐ろしい。

会釈で謝っても相手の気持ちは鎮まらないだろう。

 

ならばと考えたのが直ぐに「土下座」をすること。

この上下の格差社会が激しい世の中であるからこそ、今一度武家社会を見直し、心から陳謝する。

もちろん、こちらに8割以上の非があった場合だ。

 

朝からスーツ姿の若者が倍近い歳上の男性に綺麗に土下座をするのである。

された側も拍子抜けすると思うが、なによりも周りの通勤客が驚くだろう。

 

「まるで武士の鑑だ」

「どうして朝からこんなに心が落ち着くのだろう」

「エクセレント!」


そう言われながらする土下座は格別だろう。

 

と考えながら、僕は1人地下鉄から地上に抜け出す階段をいつものように二段飛ばしで「飛ぶ」ように駆け上がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 


相原さんから不動産契約の解約の申し込みが入った。

 

 

おしまい。

【第8話】早く起きなさい

ほら、タケシ!もう朝よ!

 

 

 

…うーん(ムニャムニャ)

 

 

 

 

 

 

 

 

ほら!もう起きる時間よ!

 

 

 

 

 

 


分かってるよぉー。もう、うるさいな。

 

 

 

 

 

 

 

だって、ほら、今日から学校でしょ?

もう起きなさい!

 

 

 

 

 

 

 


分かったから、あと5分したら起きるから。

 

 

 

 

 

 


本当に?もう朝いつもダラダラして。

お母さん、もうどうなったて知らないからね。

 

 

 

 

 

 

 


一体どうなるっていうんだよぉ。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


そりゃあ、あんたもう、お母さんの細胞にいるミトコンドリアDNAが活性化して、その細胞がさらに活性化、増殖を繰り返して、大きなエネルギーを生み出していっちゃうのよ?

そうねぇ、寝起きだろうからもう少し分かりやすく言うと、宇宙という真空な状態にも関わらず、その一素粒子が化学反応によって連鎖反応を起こしエネルギーを生み出していくときと同じように。

それによって生じるビックバンは高密度かつ膨張し続け、あたかも「宇宙そのものがその他にもある」というマルチバース的な考えまで飛躍していく。

そう、そんな計り知れない可能性を踏まえた上で、「今日から学校でしょ?」とあなたに聞いたのは、朝起きるという理由づけを間接的に伝えることで、隕石の正面衝突よろしく、それを避けるための少しでもの配慮。だってそう、これ以上会話での摩擦を望むというのならば、先述のように宇宙がパラダイムシフトして運命が変わっちゃうから。もう、そんなことになったらお母さん、たとえあなたがお母さんの遺伝子の1/2を持っていたとしてもねぇそんな…

 

 

はい、起きます。

【第7話】いやはや、いやはや

なんだろ…これ。

私はあまり興味は無かったが、なんとなく気になったので文章を読み進めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうなんですよね。

やっぱり、男と女って脳科学的にも違ってて恋愛とかも全然捉え型が違うんですよ。

例えば、男の場合だと加点方式なんですよ。

ほら「一目惚れ」って言葉があるでしょ?

あれは男性特有の言葉で女性が男性に一目惚れしたとは言わないじゃない。

つまり、外見で世の中の女性は点数化されちゃうんですわ。この子はめっちゃ可愛いから80点!いや、85点!はい、もう付き合いたい!んで、この子は、ちょっとブスだけど、まあ胸のおっぱいあるから、うーん、68点。この子はどういう育ち方をしたら妖怪七変化に化けられるんだろう、うん30点…みたいな。

酷いと思うじゃん?でもここからなのよ。

最初低くても、お、意外と気が効くじゃん、+5点!髪の毛の匂い好きだわ、+15点!

 

もう合計80点!付き合っちゃお!てなるのよ。

 


一方で問題は女性なのよ。

今この文章を読んでるそこのきみよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーなんだ、この文章は。

いきなり、男女の恋愛について語りだしているし、文章が詰まっていて正直読みづらい。

でもって何で読者である私にいちいち語りかけてくるのよ。

正直知らないし。

知ってるのかもしれないけど、知ってたとしても知らないで読むし。

別にこの内容だってどうだって良いのよ。

確かにちょっと、書いている人の経験則からくるものがあって説得力はあるけども、偏見っぽさが明らかに出てる。

こんなものは信じない…けど、まぁ続きを見ようかしら。ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 


女性はもう根本的に違うのよ。ホントに。

ここまできても、読んでるそこの君は信じないんでしょ?きっと(笑)

だってこれ、あの林先生が言ってたことだからね?

 

もう間違いないでしょ、今でしょwww

 


ごめんごめん!直前の文章の最後のやつ、(笑)よりもwの方が楽だったし!

あと良い感じのニュアンスでるからwで書かせて!(笑)

 


あ、今の最後の(笑)は「w」が重なるなら申し訳ないかなって思いまして「(笑)」にしたんですけど、逆に迷惑でしたかねw

 

ってか、なぜ急に敬語w余計わかりづらくなっちゃった!そもそも「(笑)」ってなんやねんw

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、そうな事はどうでもい良いんですけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ーーーーーーーーホントどうでもいい。

でも、ちょっとクスっとしてしまった自分が悔しい。

同時に、林先生が言ってたということで、説得力が出た。

この男が書いている偏見に満ち溢れた内容よりも、そちらの方が気になって続きを読みたくなった。

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

で、実は、女性は男性の真逆で減点方式なんですよ。

初めて、男性を見た時に無意識レベルで男性を点数化してるんです。

私はそんなことないよーって?

そんな君はパンケーキ鼻から突っ込んで、イチゴの汁で蓄膿症になりなさい。

まぁ、目に見えない感覚的なところでそれを感じてるんですよ。例えば、清潔感があってそこそこカッコ良かったとするでしょ?

そしたら、はい90点プレゼント。

でもでも、ダメ。100点は白馬の王子様に取ってるから絶対ダメ!wみたいに。

 


それから、残酷なき品定めタイムですよ。

ご飯一緒に食べて話が合わないなー、

はい-5点。

んーちょっと食べ方が汚いから、-10点かな

店員さんに無愛想すぎでしょ、もう-30点

お会計を私の分まで払ってくれたけど、当たり前田のクラッカーで0点

おっと?下を向きながらボソッとおいしかったねの一言はいただけない!はい、-3点

雨が降ってきたじゃんか!で-5点

靴が濡れたじゃんか!で-10点

 


はいー、えー、この現時点をもちまして、赤点となりましたので、私の彼氏になれるか選考会はここまでとなります。

あしからず、あしからず。

 


と、なるのだ。

 

 

 

 

 

 

 


ーーーーーーーーーーーー何が、あしからず、あしからずよ。

何の設定なのよ。

それにしても、筆者の女性に対する偏見のクセがすごい。

確かに、この文章を書いている男の気持ちも分からなくはないけど。女性はイケメンでも中身を大切する人は多いし。ただ、もちろん最低限に清潔感はあって欲しい。もしかしたら、その最低限という言葉に私たちはどこか低く点数を見積もってしまっているかもしれない。

いや、むしろ逆なのかもしれない。

90点という最低限からスタートして更に男性の粗を見つけだしては

 


「果たしてこの男は私にとってリスクの無い人間なのだろうか」

 


と目の細かいふるいにかける。

それを無意識でやってると思うと少し怖い。

その分、男は可愛い顔やおっぱいなんかで外見で判断するから分かりやすい。もし、外見がちょっと良く無くても、中身の部分で補ってくれるし、男はバカだから、中身がよくなくたって

 

「お、そんな変なところも俺は好きだよ♡」

 

ってなるから結局チート状態になる。

 

なにやってもプラスになるというイージーモードということか。

 

スーパーマリオでいうところの、敵キャラを↑+Bで攻撃したにも関わらずコインが出てくる技、ルイージモードか。

 

そう、ルイージモード。興味深い。

いやはや、いやはや。ーーーーーーーーーー

 

 

 

文章の最後にこう記されていた。

 

 

 

 

ルイージモードって何だよwwww
いやはや、いやはやってなんだよwwww

【第6話】ボタン

ここは薄暗く、鉛色のコンクリートの壁に囲まれている。風通しは良くなく、湿気が肌に纏わり付くほどジメジメしている。

 


知らない部屋に私はいる。

私以外に何人いるだろう30人、いや50人以上集められている。

 


薄暗くて良く見えていなかったが、この部屋は縦に長く奥行きがある。なにかの集会所なのだろうか。

 


目を細めて部屋の奥をもう一度みてみる。

すると、反対側の壁に小さな光が見えるのが分かる。

 


なんだろう。

 


壁に何か台みたいなものがかすかに見える。

パチンコ台のような形をしている。

 


さほど検討がつかず、私はその場に立ち尽くす。

前方に人がかたまっているため、良く見えないが、自分と同じように奥の光がある方を気にしているようだ。

 


人の流れが前に動く。

どうやら、少しずつ前に進んでいるらしい。

 


人の列が半分くらいになった時にそれが何か分かった。

 

 

 

ルーレットマシーンが3台置かれていた。

 


今まで見たこともない不気味なルーレットマシーンだった。

それは独特な形をしており、大きさは自分の背丈の大きさほどで、型が古いのかどこか年季を感じさせる。

 


ルーレットマシーン中央にはそれぞれ円盤があり、その下にボタンが一個だけ付いている。

 


上の方に数字が書かれるのに気づいた。

1番左のマシーンには「1/6」と書かれている。

2番目のマシーンには「1/12」と書かれている。

3番目のマシーンには「1/3」と書かれている。

 


なんだこの数字は。

分からない。

 


中央のルーレットの円盤に目を移すと、

「Death」の文字が書かれてある。

 


列はさらに前に進む。

 


ちょうど、次の人が真ん中のルーレットマシンの前に立ちボタンを押すところだった。

 


男は恐る恐るボタンを押すと、ルーレットマシンが突然光出して、円盤のマスが回転を始める。

 


高速に回り出した光の回転は次第にスピードを落としていく。

 


円盤には、12マスあるうちの1つにDeathの文字。

 

光の点滅が止まろうとしている時、男が震えているのが分かった。

 


光のマスはDeathのマスの5個前まで止まった。

すると、男は安堵した様子で、部屋の右奥にある部屋へと向かっていった。

 


私の順番は次の次だ。

 


次の男が前へと出る。

1番左のルーレットマシンの前についた。

 


男は緊張しながらもボタンを押す。

マス目は6個のうち1個にDeathがある。

 


光が高速で回り出して、次第にスピードを落としていく。

 

Deathのマス目はちょうど時計でいうと6時方向にあった。

 


12時方向からスピードは落としていき、3時、4時、5時で止まりかけそうになる。

 

6時のところで光のマスが点灯した。

 


その瞬間、それまで静かだった男が突如叫びだす。

しかし、周りにいる人は何も気にしていない様子だ。

 


数秒経ってから、男はぐっと身体を起こして、左奥のドアへと向かっていった。

 


何が起きているのかまだ私は分からなかった。

ただ、はっきりと分かるのは目の前にある3台のうち1つを選んでボタンを押して、Deathなら左奥、それ以外なら右奥のドアへと向かっていること。

そして、次の順番が私であるということ。

 


私も1番左のルーレットマシンだった。

なぜかはわからない。

ほとんどの人が1番左か真ん中のルーレットのボタンを押す。

 


私はしゃがんでゆっくりとボタンを押した。

 


円盤の光のマスがDeathのところから点灯して高速で回りだす。

 


なぜ、私はここにいて、このルーレットマシンの前につきボタンを押しているのだろう。

 


少し考えたが何も浮かんでこなかった。

 


すると、回転スピードは落ちてくる。

 


今度は9時の方向で点滅はゆっくりとなった。

 


12時、3時、この時にはもう止まりそうだった。

4時.......

 


...

..

.

5時

.

 


.

 


.

6時

 

 

 

Deathのマスに止まった。

 

 

 

特に、何とも感じない。

単にそのマスに止まったというだけ。

どうして前の彼は叫んでいたのか分からなかった。

 


私はゆっくりと立ち上がる。

 


それから、左奥のドアへと向かっていった。

 

 

 

ドアを開けると、畳一畳あるかないか、何も無い密閉された部屋だった。目の前には更に扉がある。

 

今度の扉はかなり頑丈そうで、潜水艦とかにあるようにバルブを回すタイプの扉だ。

この扉もかなり年季が入っている。

 


ゆっくりと回す。

ギシギシと音を立てて、バルブが緩くなるのを感じる。

 


最後まで回し終えると、その重い扉が開いた。

すると、急に眩しい光が差し込んでくる。

同時に新鮮な空気が身体に入ってくるのを感じた。

 


どうやら外に出られたらしい。

何がDeathなのか。

むしろここは天国なのではないか?

 


私はなぜここにいたのか、どうしてルーレットについていたのかなど気にもしなくなっていた。

 


しかし、目が慣れて目の前の景色が見えた時に、なぜ私の目の前にいた彼が叫んでいたのか理由が分かったような気がした。

 

ここは、どこかの屋上だ。

空は青く高く、気持ちいほどに天気がいい。

優しい風が身体いっぱいに包み込む。

 


周りには人の気配などはない。

 


ただそこにあるのは、飛び込み台。

プールの高飛び込み台にある板が1枚あるだけ。

 


屋上から迫り出すようにあるその板は人の手入れがされているのか分からないが、傷一つなく新品のようだ。

 


あの男もここから飛び降りたに違いない。

疑う余地はなかった。

 


私は板の前に立ち、ゆっくりと先端まで歩く。

 


風が気持ち良い。

肺に一杯空気が入って、細胞がいきいきしているのが分かる。

 


音はしない。

 


冷や汗をかいて、足が微かに震えていた。

 


上体を前に倒して、私の身体はふわりと落ちた。

 


きゅっと臓器が浮きあがる感覚。

 


高速に落下していく。

 


目の前に地面が見えた。

 

 

 

その瞬間だった。

 

 

 

ドン。

視界が真っ暗になった。

 

 

 

目が覚めると、薄い部屋にいた。

全身びっしょりになるくらい汗をかいている。

 


落ちたのか。

 


しばらく身体を動かせなかった。

何が起きたのか思い出す。

鮮明に覚えている。

 


私はゆっくりと上体を起こす。

落ちたベットに背を寄りかからせて、呼吸を整える。

 


鮮明すぎる記憶を忘れないように私はすぐにメモをした。それから、あの3台のルーレットマシンと、左奥へと向かう姿を絵にした。

 


ふと横にあった時計を見るとちょうど針が6時30分を指していた。

 

 

 

 

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【第5話】パパとママ

朝目が覚めると両隣にはパパとママがいる。

 

朝ごはん、台所に立つ後ろ姿のママ。

目の前のパパは私に笑って話かけてくれる。

 

小学校はパパと横に並んで一緒に手を繋いで歩く。

 

帰りはママが迎えに来てくれて、いつも笑顔なママ。手を振ってくれる。

 

スーパーで一緒にお買い物をして、ママは私の好きな物を言わなくてもカゴに入れてくれる。

 

夜ご飯はパパとママと一緒になって楽しく食べる。

 

みんなで一緒にお風呂に入って、みんなで仲良く一緒に寝る。

 

 

ある日、ママが死んだ。

 

パパは悲しそうだった。

ママが寝ているベッドに頭を埋めて泣いていた。

 

パパは私の事をじっと見てから抱きしめてくれた。

 

朝目が覚めると、パパの両腕の中にいる。

 

朝ごはん、台所には後ろ姿のパパ。

目の前には卵かけごはん。

 

小学校はいつもと同じパパと横に並んで手を繋いで歩く。

 

帰りはパパが走って迎えにきてくれる。

とても忙しそう、でも笑顔。

 

スーパーで一緒にお買い物するけど、パパはとっても困った顔をしている。いつもよりカゴの中がぐちゃぐちゃ。それじゃないよ。

 

夜ご飯、パパはエプロンをつけてキッチンに立っている。

 

目の前には焦げた焼きそば。

だけどパパは美味しそうに私の方を向いて笑いながら食べている。

 

一緒にお風呂に入っている時もパパは笑っている。

 

一緒に髪乾かしている時も、

一緒に歯磨きをしている時も、

一緒に横になって寝る時も、

 

パパは笑っている。

 

いつもパパは笑っている。

 

笑っているけど、眠った後には目から涙が出ていた。

 

私はこっそりパパに手紙を書いた。

 

朝目が覚めると、パパがまた泣いている。

 

私のことに気づくと、あの時のように私の目を見て抱きしめてくれた。

 

 

 

とても静かな朝だったけど、どうしてだろう、いつもは絶対聞こえないのに不思議とパパの「ありがとう」という声が聞こえた気がした。