虹1ポンドの物語 

ちょっと笑って、考えさせられて、楽しくなるような物語書いてます。世界観を大事にしてます。

【第9話】早朝の出来事

今朝、満員電車を出てからエスカレーターを上がったときの出来事だった。

 

直ぐ隣で60代の男性が30代くらいの男性と接触しバランスを崩していた。

 

普通ならお互いに会釈してそのまま歩くのだろうがそうはならなかった。

 

30代の男の方も無表情で彼を見返して何も無かったように振る舞ったのだ。

 

すると、見返された60代くらいの男の方は彼に向かって手を出したのだ。

 

 

それもなかなかの力の強さで。

少し口論にもなっていたか。


恐らく、60代男性は満員電車でイライラしていたのだろう。

その矢先の出来事だったために朝から怒るはめに。

 

それでも、もしそれが自分だったと考えると、なかなか恐ろしい。

会釈で謝っても相手の気持ちは鎮まらないだろう。

 

ならばと考えたのが直ぐに「土下座」をすること。

この上下の格差社会が激しい世の中であるからこそ、今一度武家社会を見直し、心から陳謝する。

もちろん、こちらに8割以上の非があった場合だ。

 

朝からスーツ姿の若者が倍近い歳上の男性に綺麗に土下座をするのである。

された側も拍子抜けすると思うが、なによりも周りの通勤客が驚くだろう。

 

「まるで武士の鑑だ」

「どうして朝からこんなに心が落ち着くのだろう」

「エクセレント!」


そう言われながらする土下座は格別だろう。

 

と考えながら、僕は1人地下鉄から地上に抜け出す階段をいつものように二段飛ばしで「飛ぶ」ように駆け上がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 


相原さんから不動産契約の解約の申し込みが入った。

 

 

おしまい。